三重の老舗伝統薬メーカーとスタートアップ企業がタッグ 芍薬の花から香り抽出し新規事業
複数の会社が持つ技術などを組み合わせて革新的なサービスを生み出そうと、三重県内の企業が全国各地の企業とタッグを組み、新たな事業をつくり出そうとする取り組みが進められています。14日、その取り組みを発表するイベントが、四日市市で開かれました。
発表されたのは、桑名市の伝統産業である鋳物づくりにAIを活用した事業や、介護サービスとDXを組み合わせた事業などです。
これらは、複数の企業が互いの技術や知見を組み合わせて革新的なサービスや新規事業を生み出す、「オープンイノベーション」の考えによる新しい試みです。
三重県は「オープンイノベーション」の手法を広く知ってもらい、新しいビジネスモデルの創出や社会課題の解決へつなげてもらおうと、「何か新しいことがしたい」「既存事業の課題を解決したい」という思いのある企業と、全国各地から募ったパートナー企業との連携を支援する事業を3年前から進めています。
3期目となる今回は、「オープンイノベーション」を目的とした企業が出会う場となっているプラットフォーム「AUBA(アウバ)」を通じて、県内企業4社とスタートアップ企業などがマッチングし、5つのプロジェクトが誕生しました。
「AUBA」を運営するeiicon(エイコン)の中村亜由子代表取締役社長は、「リノベーションをいかさなければならないので、他社と事業をつくっていく上で三重の良さをいかせられたらいいと思っていた」と振り返りました。
プロジェクトの約3カ月間について進捗が発表されたこの日、「オープンイノベーション」に関心を寄せる企業など約50社の関係者も参加しました。
1570年に創業した伊勢市にある伝統薬メーカーの伊勢くすり本舗には、これまで漢方薬の原料としてきた芍薬(しゃくやく)の「根」だけでなく、「花」にも新たに価値を生み出したいという思いがありました。
その思いに共感したのが、香りに特化したスタートアップ企業のコードミーです。
2つの企業はタッグを組み、鈴鹿市にある畑で無農薬で育てられた芍薬の花から、天然の香りを抽出するという新たな試みにチャレンジしました。
コードミーの太田賢司代表取締役CEOは「地域を香りでブランディングするという事業。まずは鈴鹿市でロールモデルをつくることができると思ったので連携した」と話しました。
また、伊勢くすり本舗の加藤宏明代表取締役は「私たちが持っていない技術や価値観、香りをどう科学し伝えるかなど、これまで視点としてなかったのでうまく表現できるといいと思う」と期待を寄せました。
AUBAを運営するeiicon中村社長は「三重県内のコミュニティーをつくっていくことが大切。跡継ぎや県外から来る人とのネットワークをつくって事業を生み出せたら」と意欲を見せました。