釣りをしながらも海とは反対を向き帰れない故郷に思い ハンセン病療養所で亡くなった先生の絵が勤務していた小学校に
ハンセン病療養所で暮らした元教師の男性の描いた絵が、このほど、男性が勤めていた三重県津市内の小学校に贈呈されました。
絵を描いたのは、今は亡き加川一郎さん。加川さんは、津市の桃園小学校で勤務したのを最後に、1950年、32歳の時に岡山県のハンセン病療養所・長島愛生園に収容されました。
加川さんの絵は、愛生園内の多くの場所に飾られていましたが、作品を故郷に帰すことが加川さんの帰郷につながるという思いから、園で加川さんと交流のあった、津市出身の川北為俊さん(故人)の所有していた絵が、遺族から関係者を通して贈られました。
この日は、6年生を対象にハンセン病に関する授業が行われた後、贈呈式で、津市人権同和教育研究協議会の馬場明生副会長が、園内で釣りをしている、絵の中の加川さんが海と反対の方向を向いていると説明。「加川さんが向いている方向は三重。加川さんは三重に帰りたかったはず」と話しました。
授業を受けた児童は「加川さんの思いが届いて本当に嬉しい」「やっと帰ってきたのが伝わってきた」「ハンセン病のことを知ってもらうようがんばっていきたい」と話していました。
絵は、児童がよく通る校長室の近くに飾られるということです。