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三重で初開催の日本パラ陸上 選手の陰で高校生ボランティアなど奮闘

 パリパラリンピックの最終選考を兼ねた日本パラ陸上競技選手権大会が、6月8日と9日の2日間、伊勢市の三重交通Gスポーツの杜 伊勢で行われました。

 県内で初めて開催され、約240人の選手が出場しました。パラリンピックを目指す三重県ゆかりの選手たちも奮闘し、津市出身の前川楓選手は女子走り幅跳びで優勝、3大会連続のパラリンピック出場へ弾みをつけました。

 選手が調整を行っていた大会前日。運営スタッフ約250人に加えて、10代から60代までの約200人のボランティアが参加しました。ボランティアスタッフたちは「三重県で陸上の大きな大会はなかなかない。普段見られない光景が広がっているのでワクワクしている」「将来、特別支援学校の先生になりたくて参加した。選手たちの不自由さを感じさせない気迫や勢いに感動した」などと話していました。

 競技運営のサポートを行う補助員や選手の受付、駐車場周辺の交通誘導などを担ったほか、県内の高校生は視覚に障がいがある選手のアシスタントも務めました。投てき種目では選手に付き添い、投げる場所や投げる方向などを伝えました。

 高田高校3年生の竹内小晴さんは「自分の声が会場のアナウンス音でかき消されるなど難しい点もあった。相手が何の情報を求め私は何を伝えるべきなのか、もっと考えなければならないことを学べた。今後、駅などで視覚障がいの人が困っていれば、手を差し伸べる経験になったかな」と話しました。

 今回の大会を誘致したのは佐野恒祐さんです。陸上経験者で、高校時代にはインターハイにも出場しました。「自身はセクシュアルマイノリティー。どのように生きていったらいいのか、解消できないモヤモヤとした気持ちがあった。陸上という夢中になれる場所に逃げることができた」と話します。

 佐野さんは性別適合手術を受け、女性から男性に性別を変えました。そして一度離れた「陸上」という場所に、支える立場として戻ってきました。「今はアスリートではないが、陸上に恩返しができるような人間になりたい」と、パラリンピック選手を輩出することを目標に、三重県のパラスポーツの発展を目指しています。

 パリパラリンピック陸上競技の最終選考の結果は、7月上旬に発表される見通しです。

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