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2割が避難場所未定で備蓄品準備なし 三重の20代以上に防災意識調査 「備えることが支援につながる」

 去年、初めて発表された「南海トラフ地震臨時情報」を受けて、三重県内のシンクタンク三十三総研が、県民などを対象に防災に関する意識調査を行いました。その結果、平時でも防災意識を高め続けることの難しさが浮き彫りとなりました。

 「南海トラフ地震臨時情報」は、南海トラフ沿いで異常な現象が観測された場合や、地震発生の可能性が高まっていると評価された場合に気象庁が発表するもので、去年8月、日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震発生を受けて、初めて「南海トラフ地震臨時情報」が発表されました。

 調査は、去年11月に県内に住む20代から60代の500人などを対象に行われました。

 その結果、「南海トラフ地震臨時情報」の発表後、防災意識や行動の変化を問う質問では、「新たな対策を始めた」と回答した人が39.4%でした。

 しかしこのうち、半数以上はその後、防災への取り組みや意識が継続しなかったと答えました。

 防災の専門家で三重大学大学院の川口淳教授は、防災意識は日常生活を送る中で徐々に下がっていくため、対策を定期的に見つめ直すことが大事だと指摘します。

 一方、ハザードマップを確認した4割ほどの人が津波や浸水リスクを確認していましたが、あらかじめ避難場所を決めたりしている人は2割以下にとどまりました。

 また、水や食料の備蓄品を1週間分以上備蓄している人は3割にとどまり、2割弱は全く準備していないと回答しました。

 川口教授は「水や電気がない、携帯電話が通じない状況をイメージすること。水やバッテリーを買わなければ、となる。家族でルールや場所を決めて集まろうというのはもうワンステップ。水を買うことよりも難しい。物がないというイメージから、水を持っていくという対策につなげる、意識を上げていくことが大切」と話します。

 また、一人一人が備えることは、災害時に弱い立場の人に支援が届くことにもつながると話します。「巨財地震や巨大災害になればなるほど、国や県市町が持っている資源や財源は総体的に少なくなる。一人一人の備えが大きければ大きいほど公的支援は小さくて済む。つまり、本当に困った人に支援がいく、より弱い人に適切な支援が回る。強い人は国の支援がなくても生き残っていける社会をつくることこそが次に来る南海トラフ巨大地震を乗り越える鍵になる」と語っていました。

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