NEWS県内ニュース/詳細

ノッカーは女子部員 ケガで選手からマネージャー転身 最後の夏にかける思い

 甲子園を目指して熱戦が繰り広げられている夏の高校野球三重大会。そんな中で、男子選手とともに勝利を目指す女子部員が最後の夏にかけた思いを取材しました。

 大会1週間前の四日市農芸高校の練習試合。ノッカーをつとめるのは女子部員の西川由奈さん。監督から勧められた軽量バットで、内野ゴロを打ち分けていきます。ノックの後に西川さんに話を聞くと「緊張でボールが全然飛ばなかった。こういった試合でノックするのは初めてで緊張してしまった」と悔しそうな表情をしていました。

 福永敦史監督は「本番に向けて、もっといっぱい練習して本人の納得のいく打球を打ってほしい」と応援します。

 西川さんは1つ年上の兄の影響で、小学1年生の頃から野球を始め、四日市農芸高校では兄と同じ野球部に選手として入部しました。

 西川さんは「連携プレーとかヒットを打った時とか、一緒に仲間と喜び合えるのが楽しくて好き」と野球の魅力を語ります。

 部員たちと同じメニューに取り組み、公式戦には出場できませんが練習試合に出場し、白球を追い続けた西川さん。

 しかし去年の秋に腰を痛め、今年5月、選手ではなくマネージャーとして復帰しました。

 西川さんは「ケガでしんどくて、一時期はもうやめておこうかなと思ったんですけど、その分、大会とか普段の練習でも、みんなと話せる空間が好きなので、それを思い出せば辞めたくないと思い、戻ってきた」と話す西川さんですが、なかなか選手に声をかけることができません。

 その理由を聞くと「選手になんて声をかけていいのか分からない、自分がプレーをしていないのに、お疲れ、とか気軽に言っていいのか考えてしまって、なかなか言えない。言葉ではなくて行動とかで、暑い時にあおいだり、水分がなくなったなと思ったら追加したりとか、行動で支えていきたい」とプレーした経験があるからこそ、声をかけづらいと話します。

 そこで挑戦したのがノッカーでした。西川さんの一途に取り組む姿勢はチームの力になっています。

 磯辺友佑主将は「由奈さんに勝ちをプレゼントする気持ちで、全員が本気となって元気よく戦いたい」と勝利をプレゼントすることを誓います。

 西川さんは「今までやってきた分をノッカーとして、自分のプレーで出して、3年間で初めてベンチの中でみんなを応援できるので、近い距離で夏の大会では声を掛けられるようにしていきたい」と話しています。

 そして迎えた最後の夏。1回戦の相手は四日市高校。西川さんが担当するノックの時間は2分。憧れの舞台で1球1球に思いを込めます。

 試合の結果は1対11で敗退。四日市農芸高校の夏が終わりました。

 最後に西川さんは「ノックは100点満点です。悔いを残さず打てました。高校野球は一番大事な存在で、私にとってなくてはならないものです」と、この夏の思いを振り返りました。

県内ニュース一覧に戻る

ページトップへ