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「機械使えんようになったらどうやって見るねん」  磁気テープの資料を残すため奮闘

 VHSなどビデオテープに記録された映像が見られなくなるかもしれない「磁気テープの2025年問題」。貴重な映像資料を残し、歴史や文化を後世に伝えようと奮闘する、三重県にある四日市市立博物館の学芸員を取材しました。

 かつて映像を記録する媒体として活躍したVHS。しかし、磁気テープは耐用年数が20年から30年ほどと言われていて、ユネスコは2025年までに「VHSなどの磁気テープがデジタル化されなければ、貴重な映像資料が永遠に失われる恐れがある」と警鐘を鳴らしています。

 四日市市立博物館の森拓也学芸員は「6年くらい前から取り組んでいる。劣化やカビが生えているビデオテープを見てきた。放っておいたらどうしようもない、とのことから始めた」と話します。

 四日市市立博物館では、地域を記録したビデオテープ約500本が保管されていて、昭和初期のお祭りの様子や、1959年に発生した伊勢湾台風で被害を受けた市内の記録など、貴重な映像も数多く残されています。


 森さんは仕事の合間に映像をVHSからDVDにデジタル化する作業を繰り返し、これまで6年間で約250本のVHSをデジタル化しました。

 しかし、森さんの困難は取材中にも。磁気テープが飛び出し絡まってしまいました。

 ため息をつく森さんですが、「大上段に振りかぶって使命感に燃えてとかではない。やっとかないかん、残しとかなあかんという思いでやっている。機械使えんようになったら、どうやって見るねんという話」と笑みを浮かべていました。

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